土地21枚

2019年3月25日 ゲーム
MTG フェスト in 京都。

紙媒体から離れている為、現地に行って参加したりもしなかったがまるまる二日間twitchの配信で存分にあることないことコメントしつづけていたのでとても楽しかった。

個人的に今回目を引いたのがTop8に残った2つの赤単が土地21枚で構成されていることだった。

青単も土地20、白単も土地20、ときたら赤単も土地20まで切り詰めて、単色というのはすべからく土地20でやっていけるというのが昨今のマナベースの風潮だったのだがこれにはちゃんと理由がある。

厳密にいうと、どのデッキも取っ散らかったマナカーブとなっているものの、1ターン目に撃たないスペルや、コスト軽減のメカニズムによってほとんどマナが掛からないカードとして運用できることを逆手に、みなしマナカーブが1マナ20枚、2マナ12枚、3マナ8枚、土地20枚というような構成になっていた。

しかし、いくら色事故がないとはいえ土地20枚まで切り詰めると3枚目にたどり着けないという確率が無視できるほど低くはない為、mtg初心者が何も考えずに土地を切り詰めていけばデッキは廻ってくれない。
なのでプロの手により、どのデッキもそもそも唱えるのに4枚目の土地が必要なカードを採用していなかったり、3マナ目に安定してたどり着けるようにドローギミックが存在したり、土地そのものに化ける1マナカードを採用したり、ちゃんと工夫と理由があって土地を切り詰めていた。

じゃあそうまでして土地を切り詰める必要がどこにあるのかという話になるが、土地を切り詰めるとゲームレンジが短く太くなる。簡単に言うと早いターンにゲームをたためる可能性が高まる。これは裏を返せば、土地を引き過ぎたりして序盤でコケると一気に不利なゲームに突入するということにもなりうる。

一方で土地を切り詰めるのはそんなに苦労するのかという疑問にも答えておくと、これは確率論的な計算を試みた人が何人もいて、たとえばmtg wiki のゼロックスの項ページには”60枚中土地24枚というデッキを仮定したとき、ドロースペル5枚に付き2枚土地を減らせる”というような記述が見て取れる。
細かいノウハウのない初心者に更にもう少し補足しておくと、mtgの黄金律には60枚デッキの土地は24枚というのがあり、これは4ターン目に4マナを高い確率で確保できるるという統計上の狙いがある。なぜ4マナが欲しいかというと、コントロールデッキを除いたほぼ全てのデッキが4~8ターン目くらいにゲームの大勢が決するようにゲームレンジを設定しているせいである。
さらに言うとウィザーズ社もそうなるようにブロック全体のバランスを見ながらカードをデザインするからである。

ここまで長かったが、さて、そこへきて件の土地21枚である。

これが意味することはつまり「ドローカードで土地を削りつつもやっぱり再燃するフェニックスや実験の狂乱といった4マナ域を4枚以上採用したくなった」ということである。

現在のラヴニカの献身環境におけるスタンダードはプロをして何に当たるか分からないという程、突出したデッキがない環境である。
それでいて、それぞれのデッキパワーも遜色なく高いのでプレイしているのが本当に楽しい。(MTGAというプラットフォームを流行らせたいという時期から言ってもカードデザイナーチームもテストプレイヤーも最高の仕事をしたといえる)

そうした多様性の高いメタゲームにおいては、ゲームレンジに対して柔軟性を持たせる必要があるという判断が今回の成功した赤単プレイヤーたちの着眼だったに違いない。
赤単は早いデッキには軽量火力の特性上、有利に立ち回ることができるし、遅いデッキにもその早さを生かして一瞬を差し切るという立ち回りを目指してきたのだが、今、流行しているデッキの一つに赤単が苦手とするスルタイがあることによって、それに対応する為、ゲームレンジの幅を広げフライヤーやアドバンテージリソースを駆使して勝つというどっしりとしたゲームを選択できるのは練習量の裏付けがあってこその難しい作業だったに違いない。

この学びを活かして明日から一層激化していくだろうMTGAの月末ラダーを赤単で走る諸氏の健闘を祈る。

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